2026年3月2日、今年度最後となる第16回TGIFセミナー「TGIF成果報告会2025 ー Town & Gown x COMMONが拓く、社会実装への次の一歩 ー 」が開催されました。
今回のセミナーでは、Town & Gown構想の下で進められてきた様々な分野の社会実装や地域課題解決に向けた研究成果について、TGIFの各部門及びCOMMONプロジェクト担当した先生方から報告が行われ、次年度以降の展開を見据えた活発な議論が交わされました。
セミナーのご視聴はこちらから(都合により、一部非公開部分があります):
当日の講演内容をダイジェストでご紹介します。
1. Town&Gown構想におけるTGIFの役割と展望:TGIF 大西 所長
大西所長からは、大学の研究シーズと自治体のニーズを繋ぐハブとしてのTGIFの役割についての解説があり、
創出の障壁(摩擦エネルギー)を下げることによる、社会実装や地域振興を加速させる理論的モデルと今後の活動方針が共有されました。
2. TGOアプリのリブートを通じたDX・EBPM推進:TGIF リ 先生
リ先生からは、TGOアプリの再構築を通じたスマートシティ・エコシステムの構想の可能性が発表されました 。
データ提供の同意(オプトイン)を得た上で市民のデータを活用し、一人ひとりに合わせたサービス還元を行うことで、データに基づく政策立案(EBPM)の基盤が構築されることへの期待が語られました 。
3. 営農型太陽光発電を活用した循環共生型地域づくり:TGIF 河本 先生
河本先生からは、中山間地域の耕作放棄地問題と再生可能エネルギーの導入を両立させる「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」の取り組みが報告されました。
景観や強風リスクに配慮した小型パネルの活用や有機栽培とのセット導入など、地域共生型の新たなモデルが提示されました。
4. 地域高齢者における社会的支援・睡眠・口腔の健康:内藤 先生

内藤先生からは、超高齢社会におけるフレイル予防を目指し、「社会的支援」「睡眠習慣」「口腔の健康」の関連性を解き明かす国際比較研究について紹介されました。東広島市内の「通いの場」を活用したデータ収集の進捗や、多職種連携による食支援への展望が語られました。
5. 環境DNAによる野生生物のモニタリングと鳥獣害対策:西堀 先生
西堀先生からは、空気中から採取した「環境DNA」を用いて野生動物(クマやシカなど)の生息状況を把握する最先端のセンシング技術が発表されました。見えないDNAを「見える化」して個体数を推定し、効果的な鳥獣害対策に繋げるアプローチが示されました。
6. スマートモビリティを用いた救急活動の効率化:高木 先生
高木先生からは、救急車が進入できない狭い道路や未舗装路において、電動キックボードを活用する実証研究の成果が報告されました。電動キックボードの活用によって救急隊員の現場到着時間が短縮され、体力の消耗を防ぐ有用性があることが示されるとともに、社会実装に向けた課題が共有されました。
7. 市と大学を繋ぐ「顧問(コモン)プロジェクト」:山下 氏
東広島市からの出向者である山下氏からは、行政の地域課題と大学の学術研究を組織的にマッチングさせる「顧問(コモン)プロジェクト」の仕組みが解説されました。初期支援型から共同事業型へと段階的に進む認定制度を通じて、着実に地域課題の解決へ繋げるスキーム(実現への枠組み)が紹介されました。
まとめ:パネルディスカッション
石井先生のモデレートで行われたパネルディスカッションでは、短期的な成果を求める行政側と、長期的な研究を重視する大学側の「時間軸のギャップ」をいかに乗り越えるかが議論されました。持続可能なイノベーションを生み出すためには、「細く長く続く」支援体制の構築と、次世代を担う学生や若手人材の育成が不可欠であるとの認識が参加者全体で共有されました。

前方左より(敬称略):⽯井抱 TGIF イノベーション創出部⾨ 部⾨⻑、⼤⻄芳秋 広島⼤学TGIF 所⻑、内藤真理⼦ 広島⼤学⼤学院医系科学研究科 教授、⻄堀正英 広島⼤学⼤学院統合⽣命科学研究科/⼤学院スマートソサイエティ実践科学研究院 教授、⾼⽊健 広島⼤学⼤学院先進理⼯系科学研究科 教授、⼭下和範 広島⼤学東広島市・広島⼤学 TGOリサーチアソシエイト
TGIFセミナーについて
TGIFセミナーは、全ての参加者の方々と協力して課題の背景を理解、コラボレーションを通じて新しい研究とビジネスの機会を創出することを目的としています。このセミナーが皆様にとって更なる研究資金や、分野横断的な新たなビジネスのための人脈を広げる場となることを心より願っております。学際的な研究者や産業界のパートナーと協力することで、特に「カーボン ニュートラル、スマート シティ、キャンパス SDGs」の分野で、日本の成功例として地域および国家の発展に貢献することを目指しています。

