2026年2月2日、第15回TGIFセミナー「地域を変えるモビリティ革命ー東広島から始まる実装と連携」が開催されました。
今回のセミナーでは、東広島市で進められている自動運転BRT(バス高速輸送システム)のプロジェクトを中心に、自治体、鉄道事業者、自動車メーカー、バス事業者、そして研究機関が一堂に会し、次世代の交通システムについて多角的な視点から議論が交わされました。
セミナーのご視聴はこちらから(都合により、一部非公開部分があります):
当日の講演内容をダイジェストでご紹介します。
1. 東広島市の挑戦:データと連携で描く交通の未来
セミナー前半では、広島大学と東広島市より、地域の現状とビジョンが共有されました。課題の共有や東広島にてスマートモビリティと「共創」に関して、広島大学 金子先生の開会挨拶から、東広島市 荒金氏より東広島の交通政策、及び力石先生より研究講演をいただきました。
東広島市は人口増加が続く元気な街ですが、自動車への依存度が約7割と高く、公共交通への市民満足度が長年の課題となっています。市は「次世代学園都市構想」を掲げ、西条駅から広島大学を結ぶブールバールにおいて、2027年(令和9年)に自動運転レベル4の認可取得を目指す計画を発表しました。それらに伴い、力石先生からはデータに基づいた議論の必要性を提起した。

2. 技術の実装:JR西日本の「自動運転・隊列走行BRT」
JR西日本の田端氏からは、東広島で実装を目指すBRT(バス高速輸送システム)の開発状況が報告されました。
先頭車両に運転手が乗り、後続車が無人で追従する「隊列走行」技術により、運転手不足の解消を目指しています。一方で、車両コストや社会受容性(市民の理解)が実用化に向けた大きな課題であることも率直に語られました。

3. 「自動運転」実現への法的な壁:産総研の取り組み
産業技術総合研究所(産総研)の田中氏と橋本氏より、技術を社会に定着させるための課題が整理されました。自動運転を実現するには、技術だけでなく「ビジネスモデル(採算性)」や「法制度(ルール)」の整備が不可欠です。特に、運転手が不在となった際の車内の安全確保や責任の所在については、法務省や警察庁とも連携しながらガイドライン作りを進めているとのことです。
4. メーカーの視点:スズキが考える「生活の足」
スズキ株式会社の藤谷氏より、自動車メーカーとしての独自のアプローチが紹介されました。高価で高性能な自動運転車を目指す欧米のトレンドとは一線を画し、「小・少・軽・短・美」という哲学のもと、生活に密着したインフラ作りを重視しています。工場内での自動運転技術の活用や、インドでの牛のフンを活用したバイオガス事業など、地域の現実に即したユニークな事例が紹介されました。
5. 先行事例のリアル:茨城交通「ひたちBRT」の現場から
最後に、茨城交通の増田氏からは、全国でも珍しい「緑ナンバー(営業運行)」でのレベル4自動運転を行っている「ひたちBRT」の実例報告。雨や暗さで自動運転が止まる課題や、安全に振りすぎているため速度が遅い(40km/h以下)といった、現場ならではの苦労が共有されました。
まとめ
今回のセミナーでは、東広島市のプロジェクトにおいて、単なる技術実験にとどまらず、法制度やビジネスモデル、市民生活を含めた社会実装に向けた多角的なアプローチの重要性が浮き彫りになりました。産官学が連携し、地域の交通課題に挑む『東広島モデル』の今後の展開に期待が高まります。
TGIFセミナーについて
TGIFセミナーは、全ての参加者の方々と協力して課題の背景を理解、コラボレーションを通じて新しい研究とビジネスの機会を創出することを目的としています。このセミナーが皆様にとって更なる研究資金や、分野横断的な新たなビジネスのための人脈を広げる場となることを心より願っております。学際的な研究者や産業界のパートナーと協力することで、特に「カーボン ニュートラル、スマート シティ、キャンパス SDGs」の分野で、日本の成功例として地域および国家の発展に貢献することを目指しています。

