3月27日、University of MarylandのMartin Dresner教授をお招きし、広島大学で「Delivering Benefits from Platform Partnerships」というテーマでご講演いただきました。

Dresner教授は、サプライチェーン・マネジメントに関する研究成果のうち、アメリカと韓国のデリバリープラットフォーム市場に焦点を当てた4つの主要なトピックについてご紹介くださいました。

アメリカでは、オンライン小売業者とデリバリープラットフォームの統合が、異なる段階で利益差を生み出していることが明らかになっています。また、デリバリープラットフォームとの提携は、レストランチェーンの直販チャネルの売上増加にも貢献しており、間接的に自社の販売チャネルを促進する役割を果たしています。

一方、韓国のデリバリープラットフォーム市場に関するDresner教授のチームの研究では、ギグワーカーが収益を最大化するためにバッチ処理(複数の注文をまとめて処理する手法)を採用することが分かりましたが、その結果として配送の遅延が発生することも指摘されています。また、ギグワーカーは柔軟な勤務スケジュールを優先する傾向があり、代償として全体的な収入は低くなる傾向にもかかわらず、低い離職率がその証拠となっています。
これらの研究成果は、日本市場との比較において貴重な示唆を与えます。日本では、デリバリー業務に従事するギグワーカーの数が限られていることに加え、時間厳守を重視する文化的特性が存在します。アメリカや韓国でギグワーカーの参加や定着を促す要因は、日本にはそのまま適用できない可能性がありますが、それでも一定の示唆を与えるとともに、さらなる研究の必要性や、日本の労働環境と文化的背景に適したローカライズされた戦略の重要性を浮き彫りにしています。
TGIFセミナーについて
TGIFセミナーは、全ての参加者の方々と協力して課題の背景を理解、コラボレーションを通じて新しい研究とビジネスの機会を創出することを目的としています。このセミナーが皆様にとって更なる研究資金や、分野横断的な新たなビジネスのための人脈を広げる場となることを心より願っております。学際的な研究者や産業界のパートナーと協力することで、特に「カーボン ニュートラル、スマート シティ、キャンパス SDGs」の分野で、日本の成功例として地域および国家の発展に貢献することを目指しています。